第1章 年越しそばの由来5選
1.商家の晦日そば
商店などが忙しい月末に蕎麦を食べた慣習
2.そばの効能説
生命力:風雨に強い蕎麦の生命力にあやかる
効能 :蕎麦の新陳代謝を高める作用で体内を清浄にし新年を迎える
3.切れやすい説
切れやすい蕎麦切りで年内の厄災を断ち切る
年切そば・借銭切・勘定蕎麦(借金が残らぬように残さず食べる)
4.細く長く説(形状)
細く長い蕎麦に延命長寿や家門繁栄を願う
太く長く(運どん)
5.その他
金銀細工(伸ばす・集める)・三角・鶴亀・あなたの蕎麦
蕎麦の特徴
細長く切れやすい、体に良く活力に満ちた三角の種の植物
年越しそばの名称
寿命蕎麦・のびそば・世直し蕎麦・運そば・運気そば・副蕎麦・縁切り蕎麦・年切そば
借銭切り・勘定蕎麦・年越しそば・歳とりそば・大年蕎麦・おおつごもりそば・
思案蕎麦(一年を反省して食べる)
有名な金銀細工の職人が金粉を集めるためや金箔を伸ばすために蕎麦を使ったとされることから、金運向上を信じて召し上がる方も多くいらっしゃいます。
そばを食べる音がつるつる、そして噛むので「鶴鶴亀亀」の字を当てたり
「信州信濃の新蕎麦よりもわたしゃあなたのそばがいい」で恋愛の願掛けや縁結び
種が三角なので帝(みかど)に通じるなどなど様々でその由来は定かではありません。
年越しそばのルーツ
江戸時代中期に定着する年越しそばですがそのルーツとされている主な説は
1室町時代の関東三大長者、増淵氏が家人と食べた蕎麦掻とする説
「世の中にめでたき物は蕎麦の種花咲みのりみかどおさまる」
2鎌倉時代の承天寺(博多)で町人にそば掻餅を振る舞った説
3体内を清浄にし新年を迎えるという蕎麦効能説
本朝食鑑(元禄8年)などの文献により蕎麦は新陳代謝を高める働きが知られていた
など他にもいろいろあるのですがここでは上記の3つをご紹介するにとどめます。
第2章 年越しそばを食べる理由
今までのお話の通り色々なルーツと由来がありますが本来の意味を考えてみます
1.年越しとは
年越しというのに年を越してから食べないのはなぜ?と思ったことはありませんか、
そこでここでは大晦日について考えてみます
明治維新前、一日の終わりは日没、つまり大晦日の夜はすでに新年なのです。宮中では天皇陛下が国の安寧をお祈りする行事が行われる日であり、庶民も徹夜で歳神様をお迎えする日、それが大晦日です。
2.除夜とは世界大百科事典によれば
じょや【除夜】
大晦日の夜。年の夜,大年,年越しなどともいう。神社では大祓(おおはらえ)といって人形(ひとがた)に託して罪穢を流し,寺院では百八煩悩の鐘をつき鳴らす。除夜の鐘は午前零時の前後につかれ,ここに年の境のあることが一般に認められているが,一日の境を日没時とする日本の古い考えでは,除夜はすでに新年に属し,来臨する年神をまつる神聖な夜であった。このため神社では篝火が焚かれ参籠が行われるが,一般家庭でも,かつては年神の前で家族揃って正式の食膳を囲んだあと,いろりに大火を焚いて終夜起きているべきとしていた所が多い。
3.年越しそばは何故食べるか、理由は由来がいろいろあるので不幸を断ち切ったり金運や長寿など様々ですが一言で言えば「幸せになるため」にではないでしょうか
4.地域による年越しそば
東京・大阪・山形・千葉・長野・箱根・地方・沖縄
うどん文化圏のと言われる大阪でも大晦日はそばを食べていたようです、福井ではおろしそばが定番で前章の名称も各地方の呼び方です。沖縄では沖縄そばが、箱根では箱根蕎麦が年越しそばとなるようですが中華そばや志那そばなどはそのルーツが蕎麦掻からとすれば蕎麦粉の入っていない蕎麦は年越しそばには向かないと考えるのが妥当だとです。
第3章 年越しそばを食べる時間
統計的には夕食派と夜食派で二分するようですがどちらが正しいのでしょうか
年越しなら年を越してから食べるのでは? 本来の意味と正しい時間はいつ?
普通より高いそばを食べるの? 予約しますか? 通販は使いますか?
など疑問は尽きないようです。
力強い植物の蕎麦を幸せになるために食べる蕎麦切り
大晦日は年神様を寝ないでお迎えする神事
除夜の鐘は概ね12時頃に撞かれる
日没はすでに新年であることから夕食に召し上がっても年越しそばであることに違いありませんが蕎麦屋の僕はこう考えます。
年内に掃除を済ませ年神様の目印となる輪飾りや松竹を用意しみそぎを済ませて日没の新年を迎える。夕食はすでに新年の食事。その後朝まで年神様をお迎えするために朝まで起きていると12時頃除夜の鐘が聞こえてくる。江戸時代は高い建物も少なく鐘の音は遠くまで聞こえたはずです、それを合図のように年越しそばを食べたと想像します。
その時間は夕食と朝食の中間で小腹のすくころ、そこで夜食として年越しそばを食べる。また祝宴(夕食)の後の後段(食事の後に麺類などを出すこと)の意味もあったのかもしれません。
農林水産省のホームページ 行事と食文化に以下の記載があります。
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/gyoji.html
大晦日(12月31日の夜)とは、正月の歳神様を眠らないで迎える日。除夜の鐘をききながら年越しそばを食べる。細く長く寿命が延びるように願うとされる。
正式には除夜の鐘をききながら食べるのが年越しそばの正しい在り方ではないでしょうか。
「そんなことを言っても除夜の鐘が鳴りだすころまで出前している蕎麦屋なんか無い」とお思いでしょうが昭和40年代頃までは大晦日といえば深夜あるいは明け方まで店を開けていた、あるいは出前をしていたと蕎麦屋の長老たちは口をそろえて言っています。
第4章 年越しそばの作り方
除夜の鐘が鳴るころまでやっている蕎麦屋が少ない現代では予め予約を入れてから食べに行く、または取り寄せてご家庭で作る時代かもしれませんね。
特別な日の特別な願いを込めてご自身で蕎麦打ちをしてみることもいいでし
年越しそばなら少し奮発して「鶏肉」や「豚肉」などの高価なお肉もいいでしょう
おすすめの具材は鴨肉、ねぎとの相性もいいですし鴨の油っておいしいですから
冷たいおそばなら天せいろ、エビやかき揚げなどと一緒に召し上がるのがおすすめです
簡単レシピ そば・つゆ・出汁が人気のコンテンツですので後日アップする予定です
第5章まとめ
年越しそばのルーツや由来はたくさんあります
食べる理由は金運・恋愛運・健康など幸せを願って食べます
年神様をお迎えする神事です除夜の鐘を聞きながら食べましょう
遅くまで開店している蕎麦屋に予約しましょう
なければお取り寄せまたは自作します
ポイントは年神様をお迎えする神事だということ
式年遷宮など神事は夜に行われることが多く除夜も神事であるということです。