年越しそばを食べる時間 晦日蕎麦の意味 年越しそばを食べる理由

「新蕎麦打ち始めました」のポスターに続き「年越しそば承り中」のポスターを見かけるようになりました。
この季節にはお客様から「年越し蕎麦は何時食べるのが正解なのか?」「年越しそばと晦日蕎麦はどこが違うのか?」などのご質問をいただきます。
年越しそばの由来と晦日蕎麦の意味を混同している方がいらっしゃるようなので整理してみます。

晦日蕎麦(みそかそば)は商店などが月末は忙しいのでファストフードとして食事を手早く済ませて仕事に戻るため蕎麦を食べた慣習で、当然その理由は食事時間の短縮です。晦日そばを食べる時間、食べるタイミングは食事の時間です。毎月月末は掛け売りの集金日だったことから、月末は忙しく夏のお盆の季節と年末は特に忙しかったようです。

本来年越し蕎麦とは新年を迎えるための儀式であり、歳神様をお迎えするための準備を整え身を清め歳の境である除夜の鐘と共に蕎麦を食し新年の幸福をお祈りするためのものです。なので年越し蕎麦を食べる時間は除夜の鐘を聞きながら食べるのが正解です。
神事は夜に行われることが多く式年遷宮などで暗い中を神様がお移りあそばすシーンをテレビでご覧になった方も多いと思います。

年越しそばを晦日蕎麦の延長としてとらえたことから年越しそばを食べる時間が夕食時だったり深夜だったりと分かれてくるわけです。

「そんなことを言っても除夜の鐘が鳴りだすころまで出前している蕎麦屋なんか無い」とお思いでしょうが昭和40年代頃までは大晦日といえば深夜あるいは明け方まで店を開けていた、あるいは出前をしていたと蕎麦屋の長老たちは口をそろえて言っています。

年越しそばを食べる時間があやふやになってしまった原因の一端は蕎麦屋自身にもありそうです。あくまで私の想像ですが、深夜に集中する注文に対応しきれず「どちらも同じ」などと言っていたのかもしれません、お客様も「混んでいるいる時間を避けたい」という思いが手伝って年越し蕎麦が晦日蕎麦と混同されていったのではないか、と想像しています。

農林水産省のホームページ 行事と食文化に以下の記載があります。
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/gyoji.html
大晦日(12月31日の夜)とは、正月の歳神様を眠らないで迎える日。除夜の鐘をききながら年越しそばを食べる。細く長く寿命が延びるように願うとされる。

やはり私は「年越しそばは除夜の鐘を聞きながらお召し上がりいただくのが正式なあり方だ」と思います。

蕎麦屋が深夜まで営業しなくなってしまった現代では、年越し蕎麦も通販やお取り寄せで年越し蕎麦を御召し上がりいただく時代なのかもしれません。
当店も美味しい年越しそばをお召し上がりいただけるよう簡単レシピ付きの年越し蕎麦を通販でお届けします。その他ギフト商品もご用意してご注文をお待ちしております。